◎高橋玄洋作品集「生きて愛して死んだ」に掲載された作品から
- 妻なればわれも粧わん (PDF330kb. 2014/1/15)
この作品は、不治の病にとりつかれた池上三重子さんが詠んだ歌を、夫の北島敬之さんが、歌集『亜麻色の髪』にまとめて贈ったという新聞記事を見つけたNETテレビの中島力ディレクターが、「夫と妻の記録」『この命ある限り』(北島敬之、三重子、司会:山形定房。1960年(昭和35年)10月2日(日))で放送し、大きな反響があり、歌集の発送作業をしていたところを制作企画部長の田中亮吉氏が見て、その内容を脚本:高橋玄洋・演出:山本隆則でテレビ・ドラマ化したものである。
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(以下、全文を読む)
- アンザイレン (PDF323kb. 2014/1/15)
この作品は、谷川岳中継の特別番組として企画されたもの。魔の一の倉沢の中央稜にテレビカメラをかつぎ上げ、総勢70名の大変なロケだったという。
当時、録画機が局にしかなかったため、ドラマはほとんど室内で録画していた。
このため谷川岳の向かい側の白毛門に発電機を持ち上げ、中継アンテナを設置し、天神平、筑波山を経由して東京に送り、録画した。
電波が弱かったり、局の録画機が使用中で現場がよくてもやり直しになったり、また電波の状態がよくても現場がダメだったり、よけいな音が入ったりして大変だったとのことである。
- 傷痕(しょうこん) (PDF476kb. 2014/1/15)
処女作「傷痕」は私には忘れられない作品である。何しろ社員だから、書き上げると今度はAD(助監督)である。現場で疑義が出るとその場で加筆訂正した。
(中略)リハーサルの時点ではまだAD高橋が作者であることは伏せられており、森さんが「そんなに勝手に直して作家に叱られないか」と心配されたのを覚えている。(「私の昭和出会った人々」から引用)
- 旅路 (PDF334kb. 2014/1/15)
3人の子どもが親の膝元を去って行く局面を描くことで人間の孤独と、老残の生き方を追求したものですが、次男の健二は私自身です。(「若き友への手紙」から引用)
- 刑事803号法廷 (PDF360kb. 2014/1/18)
1962年10月16日、第1回「積木の塔」から始まった「判決」シリーズ(1966年8月10日まで)の初期の作品。
- 蚊柱 (PDF326kb. 2014/1/18)
尾上松緑氏を想定して書いた作品。
- 美濃の石楠花 (PDF225kb. 2014/1/18)
美濃の紙すきを素材にしてという局の要請で書いたもの。後妻という設定は、学生時代に伯備線の汽車の中で回り灯籠を持って座った女性がヒントになっている。
- 尾道の灯 (PDF339kb. 2014/1/18)
舞台が青春時代を過ごした尾道なのでよく私小説かと聞かれるが物語は事実ではなくフィクションがかなり入っている。要するに青春時代の妄想を詰め込んだ精神的私小説で、主人公の志都は憧れの産物なのだ。(「私の昭和出会った人々」から引用)
この後、「志都という女」という小説で出版され、連続ドラマで2回(1967年と1977年)、1983年には「悲恋」としてリメイク放送されている。
- 生きて愛して死んだ (PDF331kb. 2014/1/18)
昭和25年頃、NHKの金ドラと称する1時間ドラマの懸賞募集に、原爆症におののきながら「ダムの辺りで」を書き応募したが落選し、石油箱2杯の原稿を燃やしてしまうことになった作品。その後、「生きて愛して死んだ」としてテレビドラマになる。
自分で企画した原爆ドラマ「生きて愛して死んだ」もそんな大型番組だった。積年の願いであったので強引に上司を説得して実現した。慎ましく平和に暮らしていた一家が広島に投下された一発の原爆で目茶苦茶にされる話で、娘が原爆症で死ぬところでは泣きながら書いたのを覚えている。(「私の昭和出会った人々」から引用)
5月31日、NET「生きて愛して死んだ」は、英文テロップ・スーパーの再放送。ロータリアンたちにみせるため。(中略)「生きて愛して死んだ」(高橋玄洋作、山本隆則演出)は、巧妙な計算が目立つ職人芸のようなドラマだった。(「テレビドラマ」(昭和36年8月)1961年度上半期のテレビ・ドラマ−志賀信夫から引用)
- 母の履歴書 (PDF247kb. 2014/1/18)
ラジオ懸賞当選作品。
脚本で使われる用語の知識
M…… ミュージック
SE…… サウンドエフェクト。音響効果。
FI…… フェードイン。次第に明るくなり画が現れてくる。その反対がFOフェードアウト。
OL…… オーヴァラップ。前の画面と次の画面がダブッて変わる。Wるともいう。
WIPE…… ワイプ。右から左へ(又は左から右へ、或いは中央又は斜めから)拭ったように消え、次のシーンが現れること。
OFF…… 画面の外から聞こえてくる声など。